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ほうれん草の赤い根

水上勉さんの「土を喰ふ日々ーわが精進十二ヶ月」の中に、
ほうれん草の根の赤い部分を薄く刻み、ひたしにまぶして食すというお話があります。

子供の頃入寺し、お寺で料理をまかされていた水上さんが、
ある日、うっかりと根の部分を捨てそうになったものを、
老師様がみつけられ、
「いちばん、うまいところを捨ててしもたらあかんがな」
「よう洗うて、ひたしの中へ入れとけ」と、悟されるというお話です。
土から出てきた一草一根には平等の価値があるのであると、この章を結ばれています。

「すると、葉のやわらかい青がかったところへ、赤い根は、花のようにまぶされて色めき、
舌の上では、根のほうが甘かった。」

私の母は、ここを「食べないように」と言っていました。
ずっと体に悪いのだと思っていました。
当時、歯が弱い祖父母と一緒でしたので、
食卓の記憶の中で、野菜はすべて柔らかく煮たり湯掻いてありました。
よく湯掻いてしまうと、根の部分は味がぬけ、おいしくないのだということが、
自分で調理をするようになってからわかりました。

この本を読んでから、りっぱな赤い根を持つほうれん草を見つけると、
あの甘さを味わいたくて慎重に色よくゆでて、赤い花を咲かせています。
根は栄養価も高いそうです。
最近では西洋種が多なりました。
みつけてもなんだか弱々しかったりして、これと思うものがなかなか手に入りません。

十年ぶりくらいに、この本を読み返しました。
軽井沢の豊かな四季、自然から頂くこと、ご馳走の意味、
どのページを開けても、以前読んだときよりも没頭しました。

ほうれん草ひとつにしても、
何ごとも変わっていないようでいて、
あきらかに変わってきているんだということを感じました。

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コメント (3)

Toni:

そのほうれん草の赤い根、これが問題。
かなり若い時から、この部分を食べると
なんか農薬臭くって、と思っていました。
で、「尿酸値」というのを中年過ぎたころから
血液検査の結果、正常値を超えるようになって、
チョコレート、イクラ、ウニ、レバー、ほうれん草、
などを控えるように医師から言われました。
その理由は「シュウ酸」を多く含んでいて、尿酸値を上げる、
つまり、「痛風」になるぞと。
やはり、身体に悪いものは自然と嫌うのかと納得。
でも、チョコレートは一枚ぐらい食べちゃうし、
イクラ、ウニ、レバーなんかは好物だからなぁ。
困った、困った。

はるみ:

Toniさん こんにちは

プリン体ってものですね。
野菜にも含まれているなんて知りませんでした。
確かに根の部分は、「何かが凝縮している」って味がしますね。

うちの父も、尿酸値が高くて、
でも、えびとかあじとか好きなものばかりで困っていました。
今は高齢でたくさん食べられくなって、
自然と数値が下がったようです。

Toniさんもどうぞお気をつけくださいね。

zukudase:

最近目にするほうれんそうは、ひょろひょろした細身のものが多いですね。独特のアクも少ないけど、甘みも少ないような気がします。
これでは、ポパイのちからこぶができそうもないなぁ…と思います。
ほうれん草は、結石にも悪いようですね。
「芋たこなんきん」でやってました。

Toniさんは「身体に良くない物自動識別センサー」がついていらっしゃるみたいですね!
うらやましいです。

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2007年3月14日 14:33に投稿されたエントリーのページです。

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