2007年2月13日

そば蔵(そばぞう:東浦和)

【店 名】 そば蔵(そばぞう)【住 所】 埼玉県川口市北園町46-3 【電 話】 048-268-0031 【営業時間】 11:30-1430: 17:30-20:30 【定休日】 月曜日 【アクセス】 JR武蔵野線東浦和駅から徒歩10~15分

平成18年11月にオープンしたお店。合羽橋の江戸ソバリエT氏の紹介により訪問。
ご主人の片桐 善昭氏は、新そば会に加盟している越後湯沢の「しんばし」で長らく修行されたとのこと。「しんばし」を手本にしながらも自己流を打ち出そうと若夫婦で頑張っている店である。
店の表には「本手打ち そば蔵」をデザインしたオリジナルロゴの入った木の看板が、その左には清楚な打ち場がガラス越しに覗け、入店前から期待が高まる。
明るい店内に入れば、修行先から送られた開店記念の花が飾られていた。

蕎麦前はといえば、魚沼塩沢の銘酒「鶴齢(かくれい)」のみ。大吟醸から本醸造まで取り揃え、燗酒は南部鉄器にて提供される。にごり酒がないのが少々残念なところ。   酒肴は、五日ががりで炊き上げた「にしんの旨煮700円」をはじめ、「海老天の揚げ蕎麦あんかけ650円」「焼き舞茸サラダ仕立て450円」など、品数は多くは無いがいずれもお値打ち価格で、安心して楽しめる。 

さて、肝心な蕎麦は「しんばし」よりつなぎのふのりの配合割合を抑えた小千谷そばとのこと。色は少々黒く、小千谷そば特有のつるつる感は押さえられている。「せいろ600円」のみならず梅肉と大根おろしをあえた「梅おろし850円」などの蕎麦メニューに「舞茸ごはん」「おもちの天ぷら」(各250円)など米どころ魚沼ならではのサイドメニューも揃っているので物足りない向きにもお薦めできる。

投稿者 akamatsu : 20:24

2007年2月12日

そば栽培記

 ようやく2006'そば栽培記がまとまりました。左が栽培したソバで打った手打ちそば。
【はじめに】  「自分で蒔いたソバから玄ソバを収穫」を体験することになる。  地域振興のソバ畑オーナーなど体験をさせてくれるところは数々あるが、それは、種まきや刈取り体験などに終始し、耕耘、施肥、手入れ、櫨干し、脱穀、唐箕、ガク取りなどの本当に知りたい作業は管理元が機械を使ってやってしまうのが常である。数年前にこれに申込み、種まきとソバ刈を体験した。しかし、手元に届いた600gのそば粉ときのこのセットを見てがっかりした。  ソバは救荒作物であり、ほかの穀物などに比べると強く、比較的手入れも簡単であることは知っていたので、信州の実家の畑を借受け、栽培に関するすべての作業工程を自分でやってみることにした。  この体験の目的の一つは、初めての体験なので、失敗して、思い通りの玄ソバにならずあるいは、最後は蕎麦(麺)にならなくても何か得ることがあるし、この経験は、今後何か役に立つこともあろう、まずは知ることが大切という思いで、チャレンジした。

 もう一つの目的は、サラリーマンファーマーが玄ソバという収穫物を得られるかどうかである。
 当然、それぞれの作業方法、作業手順の習得、それぞれの作業に要する時間、天候に左右される時間なども考え、実現可能な範囲かどうかも試してみたい。
 後述するそれぞれのカテゴリでは、栽培に関する環境面、生育過程ごとの作業を状況、評価及び感想を書くことにした。
※ そばの文字表記ですが、植物である場合は「ソバ」、粉や麺は「そば」、引用などの特別な場合を除き「蕎麦」は使わない。

1 環境
 ⅰ  ソバ畑
   畑は、長野県北部の千曲川のほとりに位置する米作地域であり、戸隠、黒姫などの霧下ソバが生 育する山間地の畑とは、異なる盆地であるが、初秋から冬にかけては千曲川からの川霧が上がる昼 夜の寒暖の差の激しい地域であることには、変わりない。
   したがって、米、りんご、アスパラガスなどの栽培が盛んで、十分な収穫が得られるため、「ソバ好  きはお里が知れる」地域ではなく、もともとソバの栽培すらされていない。
   約1畝(約1㌃)の広さの畑で、もともとキュウリやナスなどの野菜が栽培されていたが、その後、  荒らした畑となっている。
   ソバの収穫量は、気候や土壌に影響を受けやすいことは、周知の事実であり、この畑では、玄ソバ5~6kgを期待した。    栽培品種は、秋そばからこの地域で広く栽培されている「信濃一号」を選択した。

 Ⅱ 2006年の気象状況
   気象庁の月別統計データから2006年8月/9月/10月の気温、降水量、日照時間の観点で顧みた。
   まずは種を蒔く8月、平年よりも気温が+1~2℃高く、日照時間が120~140%長く、降水量は、0~40%の少ない典型的な日照りである。
   花が盛りになる9月、平年よりも気温、日照時間が平年並み、降水量は、20~70%多い。
   収穫の10月であるが、平年よりも気温が+1~2℃高く、日照時間は平年並み、降水量は、70~200%多い月であった。

   振返ると荒地であった日照りの固い畑を耕した記憶がよみがえった。
   種を蒔いてから、1週間の夏休み期間中、一滴の雨粒もなかった。
   しかし、3日目には芽が出た。1週間後には双葉となっていた。9月上旬には花が咲き始めた。
 
 Ⅲ ソバの品種
   信濃一号(1kg1260円) 
   この地域で一番多く栽培されている品種を選択した。
  《特徴》
    倒伏の率が低く、収穫量が期待できる秋まき用。収穫までの日数:75日
  《購入元》
    (有)つる新 種苗 〒390-0811 松本市中央2-5-33
    http://www.mcci.or.jp/www/tsurusin/index.htm
    電話0263 (32) 0247 Fax 0263 (32) 3477
  
2 栽培記録
 Ⅰ ソバ畑の整備(8月12日)
   草だらけ、日照りで硬くなった畑を整備し、種まきに向けて準備する。
   本来であれば、畑を整備してから、土壌を安定させるため種蒔きまで3~4日ほど期間をあけた
  ほうがよいと思われるが、短期の夏休み期間のため、翌日に種蒔きの日程とした。草刈から耕耘ま

  での作業は準備、後片付けを含め、2時間程度。
・草刈
40~50cm程に伸びた雑草を草刈機で刈り取る。刈った草は、かき集めて、畑の外へ
・施肥
土壌の成分調整のため、若干肥料の施肥。
・耕耘 
マメトラで耕耘。15~20cm程の深さになるまで、繰り返し耕した。
   

 Ⅱ 種蒔き(8月13日)
   家族の支援を得て、種蒔き。どうも朝方、気温上昇前に蒔く方が良いらしいが、これも日程の関係上、夕方気温が下がってきてからの種蒔きとなる。全体で1時間程度。
・ くわ鍬でうね畝を上げ、蒔き床を作る。
・ 4kg/10㌃なので、400gほどの種を全体に蒔く。
・ 蒔き終わった畝に長靴の先で、土をかぶせる。


 Ⅲ 発芽(8月17日)
   梅雨明け(7月28日ごろ)~この間一滴の雨もない。ソバは3日で発芽するといわれているが、この日照りでも本当に発芽するのか不安である。他のキューリなど野菜の葉は、しおれ、枯れてきているものもあるというのに。そんな心配もどこ吹く風、しっかりと発芽してきた。

 Ⅳ 開花(9月10日)
  このとき、気がついたことがある。
  ソバは、1ヶ月で40~50cmの成長を遂げた。
   畝の間に生える雑草は、ソバの早い成長に負けてあまり生えてこない。
   ソバは想像以上に強い作物であり、雑草よりも早く伸びてしまうことで、雑草が光合成できずに成長できない環境を作ってしまう植物である。

 Ⅴ 結実(9月23日)

   ミツバチや蝶、コガネムシなどが忙しくソバ畑では、働いている。
   わずか咲き始めてから、1週間の間に背丈が40~50cmほど伸び、花が一面に咲きわたる。
   これがもしこの盆地一面に咲きわたっていたら、「千曲川が川筋2本」に見えてもおかしくないだろう。(ソバの歴史を旅する:鈴木啓之著:長野・幻のソバの花)
   ソバの花は、短花柱花と長花柱花の二種類あり、1本のソバにはそれぞれどちらかの花しか咲かない。
   しかも同じ花同士では受精しない他家受精の典型ともいえる植物だ。
   蕎麦が結実するためには、昆虫の力を借りずには成立しないし、またソバの花もそれを知っていて、昆虫を集めるための匂いを放つ。
   人間からするとムッとするむせ返るような匂いでも昆虫にとっては、とてつもなく良いにおいなのであろう。
   もともとソバは、イネやムギが1粒の種から何百粒もできるのと違って、1粒の種から25粒~50粒ほどしか結実しないといわれている。

   左の写真のように花の集合体の中には、結実するものと花を咲かせてかれてしまうものがある。
   結実した当初は、表面が白い部分で角が緑色の部分で構成される。実が入っておらず、つぶれた状態である。徐々に時間が経過するにつれ、実が入ってきて、三角錐(ミカド)が構成される。
   茶褐色になる前の状態で、結実したものを一粒とってつぶしてみると牛乳のような白い液が出てきた。一方、実が入らずにつぶれた状態のまま、茶褐色になってしまう実も少なくない。
   結実率を増やすことは当然収穫量が増えることになるので、次回栽培の機会があれば、これは次の課題である。
   収穫量を大きく左右する要素は、「土壌の性質」「施肥の種類」「種の密度」「風による倒伏などがこと」などが考えられる。
   「施肥の種類」「種の密度」は、工夫ができるので、次回以降の課題とする。


 Ⅵ ソバ刈り(10月28日)
   種蒔きから75日、結実から36日ほどでついにソバ刈りの日がやってきた。
   一ヶ月以上、畑には行かなかったのでどうなっているか、不安と期待が膨らんだ。
   刈取りでの注意は、
① 天気の良い日で汁が切れた状態ではじめること。
② 稲刈鎌で、根に近いところをしっかりと刈取り、根を絶対に抜かないこと。
※根についた泥が後工程で混じることを避けるため。
③ 脱穀する前に天日で干し、実を完熟させる。

 好天に恵まれた。
 早朝、東京から移動。やはり長野はキーンと空気が冷え込んでいる。
 午前中は露が切れなかったが、午後になって、ようやく露が切れ、刈り取れる状態に。
 鎌で一握、束を適当な大きさに取りまとめる。
 束をわらで束ねる。
 天日干しにするため、はぜ櫨を作り、束を一つ一つかけていく。
 刈取りから、約1時間30分で作業は完了した。
 ここで気がついたことは、
・案外、実が入っていない状態の玄ソバが多いこと。
・75日経過後にしては、葉が枯れず青々としている。
 
 土壌の栄養分がありすぎ、茎と葉だけが伸びてしまい、結実に結びつかなかったソバがでてしまった。
 施肥のコントロールは難しいかもしれない。

 リン酸、カリ成分の調整に気をつけ、背丈を低く刈取り時期には立ち枯れ状態にもっていきたい。
 種蒔きのときに密度を濃く蒔きすぎた。また間引きをしていなかったため、茎の細いソバになってしまった。
 蒔きすぎでは、確たることは言えないが、ある一定の量を超えるとソバは、隣のソバと牽制し合い、結実を見送るあるいは、結実しても実の入らないソバを作ってしまうのかもしれない。
 期待した収穫量は望めないかもしれないが、実の入った玄ソバがある限り、めげずに最後まで、やってみよう。
 天日干しで約1週間を見込み、期間中、雨が降らないことを願うばかりである。

 Ⅶ 脱穀    今回のソバ栽培で一番不安だったのは、脱穀~玄ソバになるまでの作業である。    要するに「どんな道具や機械を使ってもいいから、玄ソバに泥や埃がついていない状態にしなさ   い」ということ。過去にソバ栽培に挑戦した方々は、ここの工程がわからず、栽培を断念した方も

  いると聞く。
   また、泥やゴミがきれいに取れたとしても最後にソバの実の周りに残るガクをどのようにしてとるのか。
   泥埃を取るのであれば、唐箕やセパレータ、ガクを取るのには、精米機などを使えばよいが、手作業で行う場合これに変わる作業を考えなければならない。
   脱穀の方法もざまざまで、機械があれば実を簡単かつ効率よく行うことができるが、今回は、きわめて原始的方法でやってみることにする。
① 青のビニールシートを敷き、ソバの束を一つずつ棒で叩き、実を落とす。
② 叩いても落ちなかった実をチェックし、再度実を落とす。
③ 脱穀後のソバには、まだ、石、泥、ホコリ、葉や茎の屑が残っている。
 左が、脱穀後の状態。未熟のソバやゴミや埃がついている。
 右が、未熟のソバやゴミ、ガクを取り、磨かれた状態。

                    
④ 唐箕の代わりにゴミを取り除く作業を古くなった扇風機を使い、実の中に入った玄ソバを上から少しずつ落とすことによって、ゴミを取り除く。


  微妙に風力とゴミが飛ぶ距離が関係するため、調節しながら行う。

 (左)最新型簡易式唐箕
 (中)玄ソバとゴミの選別
 (右)選別後の玄ソバ

    この唐箕の作業を繰り返すことにより、玄ソバのみが徐々にきれいになっていく。
   気がつかれると思うが、この作業では、もともとなるべく泥、ホコリがないほうが良いという
  ことだ。刈り取りのときは、露がないことと根を抜かないように鎌でしっかり刈ることは、大切だ。

   ガク取りの仕上げは、網目のビニールの袋に玄ソバを入れ、しばし揉むこと。
   こうすることによって、玄ソバ同士がこすれあい、殻についたゴミやガクを取ることができる。また、玄ソバより小さな粒の石や土なども細かく割れ、除去できる。脱穀2時間、磨き約1時間程度で完了した。約2kgの玄ソバを収穫した。その後、実家近くの水車小屋でそば粉にしてもらった。
   (※早く自分で挽けるようにしたい)

   そば粉としては、1.3kgほど(歩留まり65%)の収穫。
















3 そばを食べる

 玄ソバからの引きぐるみのため、色が予想以上に黒く、薄くは延し切れなかった。
 香りが良く、これはこれで、噛み締めるたびに甘味が出てくるようなうまさである。
 最後はけんちん汁をぶっ掛けて、けんちんそば、これはまさしく信州のそばの醍醐味です。

4 まとめ
 Ⅰ 評価
   ソバの栽培については、こまめの対応も必要がないので、畑が離れたところにあっても栽培可能
  な作物であることは確認できた。
  A 作業方法
    「案ずるより生むが安し」脱穀後の唐箕と磨きを思案したが、今回の方法で可能と判断する。
    面積が広くなれば、種蒔き、刈取りなどは大勢でやった方が、楽で捗る。
  B 作業手順の習得
    施肥の仕方(土壌成分の調査)と種蒔きの仕方(混み合った撒き方をしない)に注意する。
  C 作業時間
    面積が10㌃を超えない程度であれば、土日の準備~種蒔き、刈取り~脱穀、計5週の作業
  D 全体
    道具や資材がそろっていたこともあるが、方法、手順、作業時間など栽培可能な範囲であるこ
   とはわかった。愛着を持って育てるとソバの特性に触れることができるし、その特性に驚くこと
   もしばしばである。
 
 Ⅱ おわりに
   種蒔きから刈取りまで好天に恵まれ、ソバ成長の期待に胸を弾ませながら飛び乗る新幹線は、
  癒しの世界でもあった。
   新しい発見やハプニングが期待できるので、作業をみんなでわいわいやるのも楽しいであろう。
   次回は製粉機は自前にして、製粉方法にいろいろな工夫を施してみたい。

投稿者 kanai : 17:00